記憶と幼心
30才を過ぎた頃からだろうか。自分の記憶力の低下をとみに感じるようになった。
人の名前(特に外国人!)がパッと出てこない。
「えっ〜と、あの映画の、あの俳優って誰だっけ? ホラ、去年流行ったやつ……。」
もうこんなのは日常茶飯事で、最近では今朝読んだ本の内容を夕方にはキレイさっぱり忘れている。
仕方なく、夜、帰宅してから慌てて確認し、もう一度内容をたたき込む。
『脳を活かす勉強法』(PHP研究所)によると、脳科学者の茂木健一郎さんは、記憶に際してはモダリティ(五感)をフル動員することを心がけてきたそうだ。
たしかに音とか匂いとか場所とかとともに〈読書という体験〉をまるごと記憶するというのが一番いい方法かも知れない。
私たちは何かを思い出すとき、たいてい「ああこの本は高校生の時、通学の満員電車の中で読んだなぁ。隣の人に足を踏まれて痛かったなぁ」なんて、どーでもいいようなこととともに、しかしそれがトリガーとなって内容を想起することが多い。
そうると人生って、なーんだ、畢竟、記憶なんじゃないか? (今これを書きながらそう感じた。)
子どもって、記憶とともに成長していくんだろうね。
これまでさして関心もなかったのだが、私がブログというものを綴ってみようと思い立ったのは、些かあやしくなってきた(…トホホ)私の記憶を日常の出来事や感情とともに記録しておきたいと考えたからである。
ブログをはじめるにあたって、いろんな本屋で立ち読みして、最終的にアスキーから出ている『らくらく入門 ブログ 基本操作』という本を買って参考にした。600円ぐらいの安さながら、初心者の私にもわかりやすいっ! 大いに重宝。
さてさて前置きが長くなってしまったが、今週読んだのは、明橋大二の『忙しいパパのための子育てハッピーアドバイス』(1万年堂出版)。
これはすでに『子育てハッピーアドバイス1〜3』や『10代からの子育てハッピーアドバイス』など、数冊がシリーズ化されていて、よく売れているようだ。文章が少なく、イラストが豊富なので、読みやすい。
このシリーズは以前にすべて買って、積ん読状態にしてあった。
で、それを今更ながらひっぱり出して読んだのは、正月明けに帰省先から帰ってきた三才のワガママ息子についに業を煮やし怒り爆発! 怒鳴るわ、ひっぱたくわの大騒動があったため。
(私はいったん火がつくと見境なく魔神のようになってしまうのです。)
うーん、父親としてこんなんでいいんだろうか?
私より前にこの本を読んだは妻は、最後のところでホロッときて泣けてきたと感想を漏らしていたが、自分は逆に後ろ暗い気分になってしまった。たぶん読む前の動機がいけなかったのだろう。
(いや〜オヤジもつらいのよ。そんなこと言わないでよ。もっと不安になっちゃうからさ。)
ところでこの不安はいったいどこからくるのか?
現代の父子の関係には、確実に資本主義社会の病巣が胚胎されている! そんな考えが頭を過ぎる。
怒られて不貞寝してしまった息子は、2時間後、起きるとすぐに「パパぁ〜」と甘えてきて「だっこ〜」。
息子って父に何を求めているのかなぁ。自分の場合はどうだったかな?
この幼心の記憶を取り戻すことから生きにくい現代を息子とともに今一度生きなおしてみたい。
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