2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

誰か僕と話してくれない?

面白い本が出ている。田山花袋の『少女病』(青山出版社)。発行は2008年11月だが、原作は1907年5月、雑誌『太陽』に発表された。明治の後半、100年前の小説だ。 主人公は杉田古城。文学者で、若い頃には相応に名も出て2、3の作品はずいぶん喝采された。…

逆転可能の世界

のゆりは東北新幹線に乗って新花巻へと向かう。 自炊部があると言う温泉に着いた彼女は、一緒にやって来た真人に「ねえマコちゃん、わたし離婚した方がいいのかな」と聞く。真人は適当なアドバイスを与えることができず(その理由は作品中盤で明らかになる)…

引き算をしてひとり

今年の正月は鎌倉の長谷寺で写経を体験した。夫婦そろって、黙々と2時間ちかく般若心経を小筆で書写した。写しているうちに周囲のことが気にならなくなり、自分ひとりの世界にどんどんと没入していった。(修行が足りないせいか、最後は足が痺れてしまった…

袖振り合うも多生の縁

昨日は、たばこと塩の博物館で開催されている「おらんだの楽しみ方 江戸舶来文物と『焉録』」を見に行った。 はじめてこの博物館を訪れたが、こぢんまりとしたなかなかユニークな博物館だった。受付の方、職員の方もとても雰囲気がよかった。 今回の催しは開…