大切なもの

先週の水曜日18日は、久しぶりに青空の広がるいい天気だった。この日は研修日で授業がなかったため、休みをもらい、東京・駒場で行われていた「生誕120年記念特別展 柳宗悦の世界」に出かけてみた。 実は2〜3日前から少し風邪気味でしんどかったので、行こ…

よっ、江戸川屋!

月日の経つのは早いもので、もう11月も半ばとなってしまった。 秋に入り、少し肌寒くなった頃からインフルエンザに冒される学生がボチボチ出はじめ、ここ最近勤務校では連日インフルエンザの対応に追われている。学校行事も次々と中止になり、本当にてんてこ…

芸術の秋

いよいよ夏休みが終わろうとしている。(我が勤務校は世間と大幅にずれて9月末日までが夏休みなのである。最近はすでに秋っぽいので「夏休み」という言い方も少しおかしいのだが……。) この夏休み中にあれもやろう、これもやろうと計画だけは立てていたのだ…

循環型人生

一昨日の土曜は、白浜「風流」で行われたイベント「FULL MOON PRAYER〜満月の祈り〜」に参加した。 「風流」は、女優の高樹沙耶さん(今は益戸さん?)が不定期に開いているオープンスペース・ギャラリー。(http://www.furyu-awa.com/ba/ba.html)目の前に…

「リズム」のある学校

先月の8月27日(木)は、休暇をとり、千葉NHK文化センターで行われたシュタイナー教育の体験教室に参加した。実はその前にも9日(日)には、長南町の「あしたの国」で夏のオープンデーがあって、こちらには妻と2人で参加したのだった。 (来年度からいよ…

乳房と読書

乳房は私の掌の形をしている……と、私のノートには綴られている。 続きはこうだ。 乳房は掌のために造られた 掌は乳房のために造られた ノートというのは、私の「読書ノート」のことで、これらの言葉は私自身の言葉ではない。堀口大学の詩の一節だ。 伴田良輔…

人形三昧!

今日は、東京で用事のあったついでに六本木21_21 DESIGN SIGHTで行われている「骨」展を見に行った。山中俊治のディレクションによる展覧会だ。いかにも斬新なテーマである。 実際に足を運んでみると、そんなにたくさんの作品は出ていなかったけれど、どれも…

アートフルワンダーランド

今週は本屋で通りすがって、思わず釘付けになった2冊の本を紹介したい。(あぁ虫虫するのも久しぶりだなぁ。面目ないなぁ。) 1冊は、にしのあきひろの『Dr.インクの星空キネマ』(幻冬舎)。にしのあきひろとは、漫才コンビ「キングコング」の、あの西野…

サーカスの魅力

ブログも更新しよう更新しようと思いつつ、ついに1ヶ月以上経ってしまった。 別に薬をやって頭が朦朧としていたわけでも全裸で死んでいたわけでもないが、あまりにも職場で馬鹿馬鹿しい雑用が多くて、ふてくされていたのである。そうプツンと切れていたので…

秘密の通路

先々週の金曜19日は、仕事を早々に切り上げ、東京・日本青年館ホテルで行われた松岡正剛氏の講演「時空の方舟―白川静の漢字世界観」を聴きに出掛けた。 本講演は前にこのブログでも書いた、ワタリウム美術館の「歴史の天使」展の関連企画で4つ目のシリーズ…

当たり前のことを『学び合う』

もう一週間以上も前の話になるが、6月7日(日)は同僚に誘われて横浜の神奈川近代文学館で行われた『学び合い』入門セミナーに参加した。 『学び合い』とは、上越教育大学の西川純先生が中心となって研究・提案されているひとつの授業法で、わたしは以前か…

「自由」であるために

わたしの周りの女性たちの間では、姜尚中の人気が高い。いかにも頭がきれそうなシャープな顔立ちと落ち着き払ったあの低くて甘い美声が人気の秘密のようだ。 わたしは彼のそうしたスタイルはもちろんのこと、学者としてのセンスにも十分敬意を払ってきた。(…

時を孕む少女

人生はなかなか思うようにならないもので、ここんとこ突発的なトラブルに巻き込まれてばかりいる。それで少々身も心も停滞気味だ。 それでも月日はめぐり、先へ先へとわたしを運んでいく。――わたしたちはそうした事態をただ「忙しい」のひと言で片付けてしま…

大人のためのMANGA

「漫画」を「MANGA」と表記すること、「MANGA」に「大人のための」と注釈すること――これらをあらためて説明する必要性はないだろう。 日本の「漫画」は今や世界の「MANGA」となり、その「MANGA」を大人たちが熱心に読み耽っている姿はさして珍しいものではな…

喪失の悲しみ

連休の最終日、5月6日(水)は昼過ぎから東京に出掛け、銀座教文館で行われていた「ぞうさんの詩人 まどさん100歳展―ぼくがボクでよかったな―」を見てきた。 展覧会の最終日ということもあってか、狭い会場は大勢の人で賑わっていて「まどさん」の人気のほ…

原点としての小さな場

ある女性が、私が教師であることを知って『留学生日記 イギリス式高校生活』(文芸春秋)という本をくれた。 著者は1988年生まれの池内莉佳子さん。実は私にこの本をプレゼントしてくれた方のお嬢さんだ。現在はロンドン大学に通っているとのことだった。 私…

手塚治虫を語る

先週の土曜は、現在、江戸東京博物館で行われている「手塚治虫展 未来へのメッセージ」へ出掛けた。日本漫画界のパイオニア・手塚治虫の生誕80周年を記念する特別展である。 私は手塚漫画のよき読者ではないが、それでも「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」…

歴史の天使

先週の金曜は多木浩二氏の講演を聴きに行くため、仕事を早々に切り上げ、渋谷・神宮前にあるワタリウム美術館に足を運んだ。 現在、この美術館では「歴史の天使 アイ・ラブ・アート10写真展」が行われていて、今回はその記念講演ということで、多木氏がゲス…

私の解釈

今年の正月、妻と2人で鎌倉のお寺で写経体験したことは、前にこのブログでも報告した。 それで心のモヤモヤがすぅーっと解消したわけではない(いやいや未熟者ゆえいまださまざまな懊悩を抱えたままだ)けれど、あれ以来なんだかお経というものに親しみを感…

愛のオブジェ

愛とはどんな形をしているのだろう? ハート型? うーん……たしかに与謝野晶子の処女歌集『みだれ髪』には、藤島武二によるハート型の意匠がほどこされていた。晶子自身の説明によれば、キューピッドに射られたハートの矢は「恋愛」を意味し、その矢先からこ…

コトバの遺産

久々の更新です。 実はある研究会で急遽発表させられることになって、その準備に追われ、ブログの更新がままならない状態に陥ってしまったのでした。どうも、面目ない。 それで発表の方は、先週末なんとか無事に終わったのだけれど、それにしても今回は裏方…

ひっぱる影

先週の金曜日は、渋谷のBunkamuraで行われたクラウド・ゲイト・ダンスシアターの公演「WHITE」を見に行った。 この日、関東は嵐のような大雨で、首都高が渋滞。私が乗っていたバスがその渋滞にはまり、結局10分近く遅刻してしまった。(幸い公演の開始にはギ…

〈ひえさび〉の東京

先週の金曜は、上野で会議だった。この日、関東地方はものすごく寒くて、朝からの雨はいつしか雪にかわっていた。 午後からは時間が空いたので、六本木に移動して国立新美術館で行われていた加山又造展を見に行った。展覧会の規模は決して大きくはなかったけ…

17才のための恋愛学

たしか山田ズーニーだったと思うが、彼女が言うには、人は人生で17才を2回経験するらしい。1回目は実年齢の17才、高校2年生の頃。2回目は大人になってからの17才で、高校や大学を卒業し、社会に出てから17年たった頃だそうだ。大卒なら39才という計算に…

歩行とリズム

昨日は渋谷に出掛け、とってもアートフルな一日だった。 渋谷に繰り出す若者たちは、言葉遣いやファッション、ライフスタイル、そしてセクシュアリティに至るまでとても個性的だ。それぞれ存分に“自由”を謳歌しているように見える。(なかには少女姿のオジサ…

アルス・コンビナトリア礼賛

Be3 Nf6 Nf3 Ng4 Nbd2 Nxe3 fxe3 Qe7 Qe2 f5 …… なんのことだか、わかるだろうか。 チェスの棋譜である。 小川洋子の最新作『猫を抱いて象と泳ぐ』(文藝春秋)は、八×八の升目の海、チェス盤を舞台とした物語だ。 主人公はリトル・アリョーヒンと呼ばれた少…

手をつなぐことの大切さ

昨日は朝早くから家族で長南町に出かけ、モルゲンランド・あしたの国学園の「おとなのための体験教室」に参加した。 講師はふだん「手の仕事」という授業をされている先生で、今年度は2年の副担任も兼務されているそうだ。「手の仕事」というのは、「ものづ…

自分が変える社会、自分が変わる人生

昨日は冷たい風が吹きつけ、時折小雨が降りしきるなか、2つの活動に参加した。(いや〜ホント、貧乏暇なしです。) 一つは勤務校で始動した「上総堀り」プロジェクト。 「上総堀り」というのは、千葉県上総地方で考案され発展を遂げた井戸掘りの技術。人力…

誰か僕と話してくれない?

面白い本が出ている。田山花袋の『少女病』(青山出版社)。発行は2008年11月だが、原作は1907年5月、雑誌『太陽』に発表された。明治の後半、100年前の小説だ。 主人公は杉田古城。文学者で、若い頃には相応に名も出て2、3の作品はずいぶん喝采された。…

逆転可能の世界

のゆりは東北新幹線に乗って新花巻へと向かう。 自炊部があると言う温泉に着いた彼女は、一緒にやって来た真人に「ねえマコちゃん、わたし離婚した方がいいのかな」と聞く。真人は適当なアドバイスを与えることができず(その理由は作品中盤で明らかになる)…