儚く狂おしい世界
今日は渋谷で、待ちに待った映画ヘンリーダーガーの「非現実の王国で」を観た。
東京はちょうど桜が見ごろで、どこもかしこも美しく咲き乱れていたが、映画のなかのダーガーも、そして彼の絵画も同じく咲き乱れていた。
やっぱり彼の絵には人を惹きつける力がある。
狂気と正気、空想と現実の狭間、あの儚く狂おしい世界は一体なんだ?
自室に引きこもり、想像の王国で心のバランスをかろうじて保っていたダーガー。
彼の人生って、なんだったのかな?
映画を観ながら、所詮、我々の生涯もダーガーと違わないのではないかとちょっぴり悲しくなった。
世界はすべてパロディであり、トレースであり、引き伸ばしに過ぎないのかもしれない。
アイデンティティなんて脆弱なもので、だからこそ私たちは儚く狂おしいダーガーの絵に強く共感するのではないか。
映画自体はダーガー自身にスポットがあたりすぎていて、ちょっと単調だった。
もう少し彼が作り上げた「非現実の王国」に踏み込んでみたかったな。
ま、でもよくぞ映画化してくれた。