儚く狂おしい世界

katakoi20082008-03-29



今日は渋谷で、待ちに待った映画ヘンリーダーガー非現実の王国でを観た。


東京はちょうど桜が見ごろで、どこもかしこも美しく咲き乱れていたが、映画のなかのダーガーも、そして彼の絵画も同じく咲き乱れていた。


やっぱり彼の絵には人を惹きつける力がある。


狂気と正気、空想と現実の狭間、あの儚く狂おしい世界は一体なんだ?


自室に引きこもり、想像の王国で心のバランスをかろうじて保っていたダーガー。


彼の人生って、なんだったのかな?


映画を観ながら、所詮、我々の生涯もダーガーと違わないのではないかとちょっぴり悲しくなった。

世界はすべてパロディであり、トレースであり、引き伸ばしに過ぎないのかもしれない。


アイデンティティなんて脆弱なもので、だからこそ私たちは儚く狂おしいダーガーの絵に強く共感するのではないか。


映画自体はダーガー自身にスポットがあたりすぎていて、ちょっと単調だった。

もう少し彼が作り上げた「非現実の王国」に踏み込んでみたかったな。


ま、でもよくぞ映画化してくれた。