現実感のない日常

katakoi20082008-09-04



昨日は、早稲田大学でちょっとした用事があったついでに、夕方丸の内で映画「スカイ・クロラ」を観た。
こんなオッサンが行ったら浮いちゃうかな? と思ったけど、結構年配の人もいてホッとした。


冒頭の空中戦闘シーン、あまりの臨場感にあっという間に映画の世界に引き込まれた。


日常の現実感を感じないキルドレたち。彼らは思春期のまま年をとらないし、ショーとしての戦争の中でしか死ねない。いや死んでもまたすぐに別の人物として生まれ変わる。彼らが生きる日常は、永遠に繰り返される終わらないゲームなのだ。


キルドレはそんな日々に疑問を感じ、苦悩し、寂しさを抱く。が、どうすることもできない。彼らには世界を変えられない。私たちが生きる現代社会もこれとなんら変わらない。
押井守監督はこの映画は今の若者たちに向けてつくったと言う。映画の後半、主人公のユーイチは「いつも通る道でも違うところを踏んで歩くことができる。いつも通る道だからって景色は同じじゃない」と言う。
押井監督のこのメッセージはささやかだが、そこがまた妙にリアルでもある。答えのない問い……そこからどうやって抜け出す? 


今朝、息子がこんな質問をしてきた。
「たけちゃんは生まれてくる前はどこで待っていたの?」
「さぁどこだろうねぇ。覚えてないの?」
息子はこの世に生まれて来ることを待ち望んでくれていたんだろうか。(押井監督、大人たちの責任は問わなくていいんですか?)


今息子に言えるのは、みんながお前に出会うことを待っていたんだよ、ということぐらいかな。そしてこれからもお前に出会うことを待っている人がいるばずだ。
人と人とが出会う――それだけでいいんじゃないかとも思う。